
5900語
トマス・ハーディの短編。
タイトルと表紙からホラーかなと思いましたが、
ホラーと言うよりは、運命の皮肉と言うか…
夢を見たら、相手の女が(肉体的に)傷つくというのは、
「源氏物語」の六条御息所と似ていますね。
山口県の高専で翻訳された物が、web上にも公開されています。
→
『萎えし腕』
19世紀のイギリス。
搾乳婦のローダには、12歳の息子がいる。
かつて農場の主:ロッジと恋仲であり、未婚のまま子を生んだ。
しかし、ロッジとは今は全く交流がない。
ロッジは、19歳の美人で性格も良いガートルードを娶る。
ローダは息子にガートルードのことを調べさせるうち、
不思議な夢にうなされる。
ガートルード(仮)が、ローダに結婚指輪を見せつけるので、
彼女はガートルード(仮)の腕を掴んで振り払った。
やがて、ローダとガートルードは親しくなるが、
ガートルードの腕は、掴まれた痕が残り、萎びていた。
ローダは祈祷師トレンドルを紹介する。
その後、村ではローダが呪ったと噂されるようになり、
ローダは息子とともに村を去る。
6年が経ったが、ロッジ夫妻に子はなく不幸だった。
ガートルードはせめて腕が元通りになればと、
再び祈祷師に相談し、絞首刑になった人間の首に腕を巻けば治ると教わる。
絞首刑が行われる日に、夫が不在となることを知ると、
ガートルードは刑場まで馬で向かい、死刑執行人に頼み
死刑囚の遺体に触れる手はずを整えた。
死刑となるのは、放火犯とされる18歳の男だった。
執行後、ガートルードが男の首に腕を巻くと
女の絶叫が聞こえた。
振り向くと、そこにはローダとロッジがいた。
死刑になったのは、ローダの息子だったのだ。
ローダはガートルードを激しく罵り、
すると極度の緊張状態にあったガートルードは倒れ、
数日後、そのまま死んでしまった。z
PR